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研究活動


人は製品ベネフィットに満足しているか

−ベネフィットリサーチの試み−

「製品ベネフィット調査」とは、市販製品の特性について、どれだけ消費者が満足しているか、あるいは問題としているかを把握し、また消費者がどれだけベネフィットや問題点の解決を望むかを知ることで、新製品の開発等につなげるための調査である。社内研修会でこの手法についての講義を聞く機会があったので、おおよその感触を得るために、社員30人の協力の下に簡単な調査を試みた。

 1 ベネフィットリサーチとは
市販製品について、製品機能またはベネフィットを単に評価するだけでは不十分であってさらに消費者がその機能やベネフィットをどれだけ望んでいるかを知る必要がある。
このために手法として、ベネフィットリサーチが用いられている。その実施手順は以下の通りである。

<実施手順>
(1)市販製品についての特性を多くあげ、それらの特性が製品本来のベネフィットを充足しているかどうかを答えてもらう。
   →市販製品の満足度を把握
(2)消費者が、それらの特性をどれだけ欲求するのかを答えてもらう。
   →求めるベネフィットの欲求度を把握

この2つのデータを組み合わせることによって、「消費者の欲求度が高いのに、充足度の低いベネフィット」がその製品にとって問題であると指摘できる。

 2 清涼飲料について適用
現在の清涼飲料「A」の改良、または同製品と異なる新しいタイプの飲料のアイデアを得るために、下記のベネフィットリサーチを計画し実施した。

(1)サンプル30人(社員)
(2)調査方法
製品ベネフィットとして次の8項目の特性を選んだ。

これらの特性について、欲求度(ほしい〜ほしくない)および満足度(満足している〜していない)をそれぞれ4段階評価で聴取する。

(3)各特性ごとに、欲求度と満足度による4段階のクロス表を作成(図1)。
(4)上記の表から、満足度より欲求度が高い人(不足者)について欲求度と満足度の差を計算をして、平均不足度スコアを求める。また、総数に対する不足者の割合(不足者比率)を出す。
(5)不足者比率をX軸、平均不足度をY軸にとり、求めた値をプロットする(図2)。

 3 リサーチ結果の分析
図2のグラフの右上の範囲内に示したように、不足者比率が高く、かつ平均不足度スコアも高い特性に、「後味がすっきり」「機能性がある」「甘さがちょうどよい」がある。
「後味」については不足者比率が対象者の半分以上の約55%を占めるが、不足度スコアはやや落ちる。これに対し、「機能性」と「甘さ」は、不足者比率が40%台にとどまっているものの、不足度スコアはかなり高い。
今後、飲料「A」を改善するとすれば、以上の3特性について検討すべきであると思われる。また新製品のアイデアもこの改善点の延長線上で発展させることが望まれる。

 4 プロブレムリサーチ
現行製品の悪い点を見つけ、それを改善したものを提案し、または新製品のアイデアを得ようとする手法である。消費者にとって、ベネフィットよりも問題点を認識、評価するほうが簡単であるという前提に基づいている。つまりマイナス点を意識させるほうが消費者の本音が出やすいといえる。
このデータを分析することによって
・問題点別に平均重要度、平均発生頻度を計算→発生頻度が高く重要な問題点を重視
・現行製品による解決度を計算し、これから平均未解決度を逆算する。
・平均重要度と平均未解決度で、各問題点をプロットし、高重要度・高未解決度を持つ問題点を判別し、新製品コンセプトの形成に役立てることができる。


ベネフィットリサーチは、プラスの面に焦点をあてるため、CMのイメージ等の影響を受けた回答が出やすいが、プロブレムリサーチはこの欠点を持たないといわれる。


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