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コラム


〜MENUセンサスから〜

[食にまつわる意識/無意識について]


食事は誰もが1年365目、毎日とっているものです。 特に正月、クリスマス、誕生日、来客等々のイベントメニューを除けば、 1年の大部分はいわゆる”普段の食事”です。 この普段の食事については、その様子や概略を他の人に話すことは出来ますが、 トレンドとして意味をもたせる程には、数値化できないのが現実です。 食事が余りにも日常的で、無意識に繰り返される部分が多いからです。 例えば、自分の家の味噌汁について具の種類をあげることは出来ても、 100回中ねぎが何回、豆腐は何回、そのうえねぎと豆腐の組み合わせはとか、 だしは何が何回ということになったら、主婦にだってきっと答えられないに違いありません。

食卓にカレーライスが出る頻度は、 メニューセンサス 結果では「2週間に1回強」です。 同一世帯の主婦に、付帯調査で意識として聞くと、その平均は「約1週間に1回」となり、 2倍程の開きがでてきます。「カレーライス」は出現世帯率も高く(61%)、極めてポピュラーなメニューです。 ちなみに、ごはんはもちろん100%、野菜・豆腐入り味噌汁98%、魚介類塩焼き92%、トースト89%、 納豆81%、野菜サラダ80%、おにぎり70%などで、飲料や菓子類を除くとカレーライスは13番目にランクされます。 (出現世帯率;2週間に一度でも出現した世帯の割合、データはVol.9<1998年>より)

また主婦にとって、「カレーライス」は”子供が喜ぶ”うえに、”手間のかからない””忙しい時の” しかも”経済的”なメニューとして、好イメージで位置づけられてもいます(付帯調査「料理のイメージ」結果より)。 先の開きは、意識の中にしっかり定着しているメニューだからこそ、 実態より過剰に反応したことによる結果と考えてよいでしよう。

ここに、Vol.8春調査の対象者からの、日記帳に添付されていたメモを原文のまま紹介します。 カレーの作り方、材料に関する不明な点を、調査員が中途点検時に問合わせたことに対する返事です。 当時4才、8才のお子さんとご主人の4人家族の主婦からいただいたものです。

対象者からの、日記帳に添付されていたメモ
アンケートに協力させていただきました。改めて自分の食べているものを知ることが出来ました。 田舎へ出かけたり、また私が夜度々出かけたためカレーライスが多くなりました。 ちょっと片寄ってしまった事、お許しください。私自身の食事作りのモットーは、なるべく手作りに心がける事です。 だしも、だしの素は使いません。出来合いのおかずも嫌いです。 カレーもカレー粉(カレールーのこと)は個人的に好まないので、スパイス20種類で作ります。 添加物を減らしたいと心がけています。これを機会に、また食事作りに頑張ります。ありがとう。
[19種類のスパイス名記入]

という率直で、食事に対する決意もうかがえるものでした。 こんな時は、調査員も私たちも結構うれしくなるものです。 これをみる限り、食にはかなりのこだわりと調理技術を持った主婦だと見受けられますが、 それでもやはり無意識のうちに行動している部分があるようです。無意識の繰り返し(ここでは献立)、 カレーが出てくる背景などうなずけることが多いメモでした。

どうやら、”食事”というものは無意識に繰り返される部分が多い反面、 意識としてしっかり定着しているところもあるようです。この意識として定着している例として、 付帯調査より抜粋した「料理イメージ」をもう少し詳しく取り上げてみます。 Vol.2<1978年>から同じ質問を現在まで継続しています。料理の特徴を示す言葉を読み上げ、 思い浮かぶ料理名を3つまで答えてもらうものです。特徴を著わす言葉は全部で13個あり、 本体日記帳の中間点検時に面接聴取します。結果は開始以来、20年を経ても上位にランクされるメニューには変動が少なく、 この種の意識定着がかなり強いことを裏付けています。 表中 でマークしたメニューは、Vol.2から9までの間にランキングが5位以下になったか、 あるいは4位までに人ってきたメニューです。

注)この調査は本体、付帯とも現在まで継続し、Vol.13が2006年夏頃から開始されます。

「カレーライス」は想起を促す言葉(イメージ)をいくつかもっており、そのイメージや順位が不動のものになっていることが分かります。
「心のこもった料理」「栄養のある料理」は、20年間で顔ぶれががらりと変わってしまいましたが、メニューは類似点が多いです。心のこもった料理には、何種類かの素材を組合わせた煮物であることと、調理時間がかかるという共通点があります。栄養のある料理には、すべてに肉類が絡んでいます。ただし、心のこもった料理としての「野菜醤油煮」は根強いものがあります。
「ごちそうに見える料理」「休日の夕食料理」「来客をもてなす料理」は、どちらかというと外食に多い料理が顔を並べています。
「食欲のない時の料理」は日本に昔からある料理で、さっぱりしていて、しかも素早く出来上がるものが多いです。
「子供が喜ぶ料理」は今も、20年前も変わりません。特にトップ3は不動です。
「健康によい料理」には、やはリ野菜が中心の料理ですが、Vol.9で塩魚焼が新顔として登場してきました。”魚離れ”が言われ続けていますが、今後に注目したいところです。
「主人が喜ぶ料理」イコール心のこもった料理とはならないことを、改めて知らされた思いがします。結局、”心のこもった料理”とは子供/主人/家族が喜ぶ料理というより、主婦自身が手間暇をかけた難しい部類の料理ということになりそうです。また、主人が喜ぶ料理としてVol.9でカレーライスが顔をだしてきましたが、何となく分かるような気がします。


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