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メニューセンサスの分析レポート

メニューセンサス(食卓日記)

コラム

002.“年をとったら肉を食べなくなる”は本当?
~70代の食生活について考える~

今どきの60代、70代の食生活はどのようなものでしょうか?まわりの声を聞いてみると・・“年配になると肉が減って魚が増えるのでは?”、“いや、今どきの高齢者はけっこう肉を食べるイメージがある”、“実家に帰ったら両親の食卓が野菜ばかりだったけど大丈夫なのかな” などの声がありました。
今回は『MRSメニューセンサス』のデータを使って、20代から70代の主婦の世帯の「おかず」の内容を比較してみます。
図1は、家庭内で食卓に上ったおかずの延べ回数です(1,000世帯・1日あたり)。大きく「肉料理」「魚料理」「野菜料理」「その他主菜(卵料理、コロッケなど)」「その他副菜(漬物、納豆、のりなど)」に分けて傾向を概観します。

高年齢層ほどおかずの出現回数が多いことがわかります。これは、3食を家庭内で食べることが多いということに加え、1食あたりのおかずの数が多いためです。
「肉料理」は40代が最も多く、おかずの中の回数シェアも27%を占めているのに対し、年齢が上がるほど「肉料理」が少なく、70代では回数シェアが14%と低いことがわかります。逆に「魚料理」、「野菜料理」、「その他副菜」は高年齢ほど多頻度に食卓に上っています。
ところで、現在の70代が若い頃にはどのような食卓だったのでしょうか。『MRSメニューセンサス』は1978年開始ですので、2015-16年調査時に70代後半である主婦が40代後半だった時まで遡って、コーホート分析の視点で比較することができます(対象者は同一ではなく毎回フレッシュサンプル)。

今の70代後半主婦が40代後半だった頃はおかずの出現回数が最も多く(40代前半の方がもっと多かったかもしれませんが)、加齢とともにメニュー数が減ってきているのがわかります。「肉料理」の延べ回数も、40代後半当時(1,306回)に比べて70代後半(861回)では約3分の2に減っています。おかず全体における「肉料理」の回数シェアは、40代後半(16%)から70代後半(13%)まで低下しています。年配になると肉を食べなくなるというのは間違ってはいませんが、数パーセントの下落にとどまり、また、70代以降も減り続けるということではないようです。
ここで図1と2を比べてみると、今の70代が40代当時、肉以外のすべてのメニューが今の40代よりも多く食卓に並んでいたことがわかります。このような見方をすると、将来の高齢者の食卓が大まかに予想できますね。また、今回のデータから発展して、さらに深く分析したくなってきます。例えば、
・年代ごとの「肉料理」の具体的なメニューと、その変化は?
・年代ごとの「肉の種類」と、その変化は?
・シニアが食べている肉料理の「味付け」や「調理形態」は?
・「肉料理」をよく食べるシニアとあまり食べないシニアの違いは?
 (デモグラフィック属性、「肉料理」以外のメニュー、食意識など)
・「副菜」の具体的なメニューも、年代によって変化している? 等々・・。

これらの詳細データを活用し多面的に分析することで、「シニア向け」や「食べ盛りの40代主婦世帯向け」の商品開発仮説が構築できるでしょう。
そして、想定ターゲットを対象とした、さらなる食卓写真調査、ホームビジットによる観察調査、インタビュー等を実施することで、商品コンセプトやコミュニケーションポイントを固めていくことができます。

参照Report
  • 『MRSメニューセンサス』新vol.4(2015~2016年)「シニアの食に関するレポート」
    こちらをご覧ください
詳細な情報やデータ例をご覧になりたい方はこちらまで。
お問い合わせURL : https://www.mrs.co.jp/contact/
001.「トーストにはバター(マーガリン)」は定番ではなくなる!?
~トーストの食べ方をきっかけに、朝食ニーズを考察する~

食パンといえば「トースト」、「トースト」といえば「バター」や「マーガリン」、というのが昔からの定番イメージだと思います。
実際に『MRSメニューセンサス』においても、81-82年はトーストに「バターかマーガリン」を塗るケースが9割以上を占めていました。
しかし、その割合は徐々に低下し、直近の2015-16年データをみると、67%にまで下がっています。
実に3割以上が、「バターもマーガリンも塗らないトースト」になっているのです。とくに注目したいのは、「バター」は一時期品薄や価格の高騰もありましたが直近では持ち直しているのに対し、「マーガリン」は長期的に見ると右肩下がりです。
「トランス脂肪酸」など健康情報が一因かもしれません。
しかしそれ以外に、「バター、マーガリン以外のもの」として、「チーズ」や「マヨネーズ」の台頭が挙げられます。
インターネット上では、「悪魔のトースト」なるレシピも話題になるなど、従来のシンプルな「トースト」ではないものが増えていることが一因と考えられます。

さてここから、「トースト」の食べ方をきっかけに、「朝食全体」について考えてみます。
「トースト」の摂食シーンを時間帯別でみると、「朝食」が約9割を占めています。朝食の主食が「パン派かごはん派か」というアンケート結果は巷にあふれていますが、『MRSメニューセンサス』では2000年調査時からパン派がごはん派を上回っていました(最近では「オートミール」の割合も増えています)。
ただ、パン派の場合ごはん派よりもおかずの品数が少なく、代わりにヨーグルトや野菜ジュースの出現回数が多いことから、パン食の栄養の偏りのつじつま合わせをしていることが確認できます。
 朝ごはんの欠食や簡略化の流れを止めることは難しそうですが、前述のトーストアレンジは、“ちゃんとしたおかずは作れなくても、少しでも充実した朝食にしたい”、あるいは“朝食の飽きを回避したい”という朝食ニーズの表れのひとつといえそうです。

『MRSメニューセンサス』では、朝食実態の詳細な把握を入り口にした「朝食マーケティング」のお手伝いをいたします。