ブランド管理は大事
マスメディアや店頭だけでなく、SNSなど多様なメディアの情報が氾濫する現代、商品やサービスの選択には益々負担がかかるようになってきました。最近は、消費者の選択がプラットフォームの推奨に委ねられてしまうなど、自社が意図するようには市場でのコントロールが利かない局面も出てきました。多くの情報処理の負担を回避するために、消費者が手掛かりとするのは「ブランド」や「ブランド体験」であり、比較サイトで高得点を獲得している商品があったとしても実際に購入されているのは「よく知られたブランド」だという現実は、これを如実に物語っており、企業におけるブランド・マネジメントは益々重要性を高めています。
企業には、自社の商品やサービスに関わる「成分ブランド」「技術ブランド」、そして購買に伴う情報探索や購買チャネルとなる「プラットフォームのブランド」など、自社を取り巻く多くのブランドに目を行き届かせることが求められており、ブランド・マネジメントはますます複雑化していくと考えられます。
弊社では、管理したいブランドの背景情報を整理したうえで、ブランドの現状と、今後どんなものを身につけさせ、どんな洋服を着せたいのか、どんな人に愛されるようしたいのか、どうやって健康に長生きさせるのかといった視点でブランドマネジメントの課題に臨んでいます。
ブランドマネジメントの考え方
ブランド管理を担当する人は、ブランドの所属するカテゴリーや市場環境に照らし合わせ、常に客観的にブランドを眺めねばなりません。ブランドがビジネスにどのように貢献しているかを俯瞰する姿勢が、ブランド・マネジメントには求められます。マーケティングの成果が表れない原因を突き詰めていくと、実はターゲットと自社で「ブランド知識」(右図はKeller:1998)が乖離していることにあったとわかることがあります。気づいた時には、自社のブランドが自社の思いとはかけ離れた存在となっており、パワーが低下し、回復が難しくなっていた例もあります。どんな華やかなブランドであっても「ブランド・プロミスが陳腐になっていないか」、「ブランドが年を取っていないか」と一瞬たりとも気を抜くことはできないのです。
また、ブランドのポジショニングによって採用する戦略は異なるため、複数ブランドを保有する企業は「市場での相対的シェアの高低」や「カテゴリーのプレミアム性の高低」などで整理しておく必要があります。ポジショニングの理解を経てブランドのポートフォリオ管理をすることで、成長可能性を持っているブランド、そうでないブランドを特定して資源配分を決定することができます。
必要な情報
●全ては認知から
「ブランド認知の獲得」がブランド・マネジメントの第一歩と考え、まずはターゲットに自社のブランドがどのレベルで認知されているかを確認します。カテゴリーの名称を上げただけで「再生」(ノーヒントで想起)されるレベルなのか、社名を与えて「再認」レベルなのか、ブランドの認知状況を確認することがスタートラインとなります。ブランド認知の近道として有望な接点や認知を勝ち取る方策を常に新しくするため、情報を集めます。
●ブランド要素の管理
ブランドのイメージを形成する「ブランド・ネーム」「ブランド・ロゴ」「キャラクター」など目に見えるものの管理はもちろん、自社ブランドが「どのような連想から、何を、どのように約束するものに見えているか」を定期的に確認することも重要です。ブランドが、時代の要求やムードに合わなくなっていることを発見した場合は、望ましいものにバージョン・アップすることに取り組みますが、この時重要なのは、企業が考える「ブランドの約束」を損なわないことを確認することです。
リサーチに関する留意点
ブランドイメージは、消費者の心の中にあるものなので、形にして示すのはとても難しいものです。ブランドの状況に応じて、競合と比較してみたり、構成要素を探索したり、量的に実態把握をするにも、その全段階で質的なリサーチが不可欠となります。ブランドの影響力の強いカテゴリーではブランドは、消費者の頭の中で抽象度の高いレベルで存在し、合理的な説明が及ぶものではないからです。質的調査では、潜在的な気持ちを抽出する技法や表現の難しいことを明示化する方法などを使います。
弊社で取り組んできた課題(例)
ブランド・マネジメントでは、企業の意思が反映されるべきと考えていますので、その思いを充分にご説明いただいてから、どういうアプローチをするかを提案させていただきます。
以下は、これまでに弊社が多様な企業と取り組んで参りました仕事の一例です。課題を特定するための初期の問題意識から、ご一緒させていただければ幸いです。
●新ブランドの立ち上げ(ブランドコンセプト作成~)
●ブランド要素の方向性決定
●ブランド・エクステンション(ライン・エクステンション、カテゴリー・エクステンション)
●ブランドのポジショニング確認
●ブランドの評価
●不祥事発生後のブランドイメージの確認
●ブランドの再活性化/リポジショニング
●リニューアルブランドへの移転要素の抽出
●各ブランドのコーポレートブランドへの貢献度評価
●ブランドロゴやキャラクター、CMなどコミュニケーション変更に伴う購買行動への影響
●ブランドの事故・不祥事発生後の消費者反応確認
●ブランドアイテムの削減
●PB(プライベートブランド)とナショナルブランド
●サブブランドの展開
●ブランド・ロイヤルティの実態把握
:
など